高齢ペットのケア4
長年動物病院でペットの診察をしていますが、受診理由として多い症状は食欲がないということです。
飼い主さんにとって一緒に暮らしているペットがご飯を食べないということはすごく心配なことだと思います。
ましてや高齢のペットが食事を摂れないとしたらいてもたってもいられないということは獣医師として十分に理解できます。
私たちのところへはそんな子が多く連れてこられます。
そんな時まずは、全身状態を確認して必要に応じて検査をします。
脱水など大きな病気がない場合には、私が手から与えてみます。
すると大抵は食べてくれるので「あっ」と声を上げる飼い主さんが多くいます。
「なぜでしょう。
お話を伺うと食欲があった時と同じように餌を鼻先に持っていって食べるのを促す程度で食べつかなければ諦めてしまうとのことでした。
私の場合は、ペースト状の餌を自分の手の中で温めてまずは鼻の下に塗りつけるようにします。
すると、それを舌で舐め取っておいしと感じると直接手から食べ出します。
そのような簡単なことを繰り返すことで徐々に食欲が改善していくことが多いのです。
高齢ペットの食事の介助で大事なことは誤嚥性肺炎を起こさないことです。
そのためには、元気な時と同じような姿勢にして、舌が動いて食べ物を飲み下しているかを見ながら与えることが重要です。
横になったままで与えると気管に入ってむせたり、咳き込んだりして肺炎になってしまうことがあります。
元気な時の姿勢を保つためには飼い主さんが椅子に座って犬を横向きに抱いたり、車椅子や介助用のクッションを使うと簡単です。
また、最近は必要な栄養をわずかな量で摂れる介護食がありますのでご相談ください。
元気に過ごす最初の一歩は食事です。
獣医師 原