犬と猫の膀胱炎について|症状を見逃さない!原因・治療・予防法を徹底解説

犬や猫の膀胱炎は比較的一般的な病気で、痛みや不快感を伴います。
放置すると膀胱だけでなく腎臓にも悪影響を及ぼすことがあり、最終的には命に関わる危険な状態になることがあるため、早期発見と早期治療が重要です。

今回は、犬や猫の膀胱炎について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。

■目次
1.膀胱炎とはどんな病気?
2.症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ

膀胱炎とはどんな病気?

膀胱炎とは、犬や猫の膀胱に炎症が生じる病状を指します。この炎症は主に細菌感染から起こりますが、結石や腫瘍、ストレスなどが原因となることもあります。
膀胱炎は「急性膀胱炎」と「難治性膀胱炎」の二つに分けられます。

<急性膀胱炎>
急性膀胱炎は、特に若い犬や猫に突然現れることが一般的です。炎症が急速に進行し、適切な治療がなされない場合、重篤な状態に至るリスクがあります。特に猫においては、尿路結石や尿路の異常が膀胱炎と密接に関連しており、これらは尿のpHの不均衡や食事の問題が原因で発生します。

<難治性膀胱炎>
高齢の犬や猫に多く見られる難治性膀胱炎は、症状が一時的に改善されたとしても再発することが一般的です。長期にわたる治療が必要となり、ご自宅での管理が難しいこともあります。

症状

膀胱炎は以下のような症状が見られます。

トイレに頻繁に行くが、尿がほとんど出ない:尿道の閉塞や膀胱の炎症を示している可能性があります。
以前なら1日2〜3回だったのが、今では1時間に1回以上トイレに行くようになっているが、実際におしっこの量を確認してみると、いつもよりも明らかに減っている。トイレに行く回数が増えているのに、1回あたりのおしっこの量が少ないと感じたら要注意です。
さらに、愛犬(愛猫)がトイレでしゃがんでいる時間が長くなっていませんか?おしっこをするのに時間がかかるようになり、出始めるまでに数分かかることもあるかもしれません。

このような変化に気づいたら、愛犬(愛猫)の健康状態を確認する必要があります。頻繁なトイレ通いは、尿路系の病気のサインかもしれないためです。

排尿時の明らかな不快感:痛みや不快感のために排尿を避けるような行動を示すことがあります。「排尿時に痛そうに鳴く」「おしっこをしたがるのに出ない」「トイレ以外での粗相」などの行動が見られます。

尿に血が混じる:膀胱や尿道の炎症が原因で血尿が見られることがあります。この症状は、特に肉眼で確認できる場合、速やかに獣医師の診断が必要です。

膀胱炎は治療後も再発しやすい病気です。さらに、膀胱炎が進行すると腎臓にも影響を及ぼすことがあり、急性腎障害や尿毒症を引き起こす危険があります。
尿毒症に至ると、動物の健康が急速に悪化し、食欲不振、嘔吐、痙攣、意識喪失などを引き起こし、最悪の場合数時間から数日で死に至ることもあります。

原因

犬の膀胱炎は主に細菌感染によって引き起こされます。この細菌性膀胱炎は、腸内細菌や皮膚の常在菌が尿道を逆行して膀胱に感染することが多く、特に尿道が短いメスの犬に多く見られる傾向があります。
膀胱炎が進行し、細菌感染が逆行性に腎臓に波及すると、腎盂腎炎というより重篤な病状を引き起こす可能性があります。

猫においては、膀胱炎の原因が多様で、細菌感染だけでなく、結石や結晶による膀胱炎が見られるほか、特発性膀胱炎も一般的です。特発性膀胱炎は、原因が明確に特定されていないものの、ストレスや肥満が影響している可能性が指摘されています。特に中齢(2〜7歳)のオスの猫に多く見られます。

診断方法

膀胱炎の診断には、尿検査が基本となります。この検査では、尿中の出血の有無を確認するとともに、顕微鏡を使用して尿中の細胞、結晶、細菌の有無を調べます。

異常が見つかった場合、さらなる精密検査が必要となります。これには、尿培養検査、グラム染色法(細菌を特定の染料で染色する方法)や、血液検査、超音波検査(エコー)、X線検査(レントゲン)なども行います。

なお、尿はご自宅で採取して来ていただくことが多くありますが、尿検査で使用する尿は朝一番の尿が最も適しています。可能であれば採取後40分以内に検査するのが理想ですが、難しい場合は冷蔵保存をして、早めに来院するようにしてください。

治療方法

膀胱炎の治療は、その原因に応じて異なります。
細菌感染が原因の場合は抗生剤による治療を行います。結石による膀胱炎では、食事療法が中心となり、水分摂取を増やすことも推奨されます。結石が大きい場合や食事療法で改善が見られない場合は、手術による摘出が検討されることもあります。

また、猫の膀胱炎に多いストレス関連の原因では、生活環境の改善が必要です。ストレスの原因を取り除くことに加えて、消炎剤を用いた対症療法が行われることがあります。

予防法やご家庭での注意点

愛犬や愛猫の膀胱炎や尿路結石の予防には、まず新鮮な水を常に飲める状態にしておくことが重要です。十分な水分摂取は尿量を増やし、膀胱や尿道内の細菌を排泄するのに効果的であり、膀胱炎のリスクを減らすことができます。

猫はストレスが尿路疾患の原因になることがあり、生活環境を快適に整えることが大切です。特に使用するトイレを清潔に保つことが重要になるため、猫の頭数よりもトイレを多く用意し、いつでも清潔なトイレを使えるようにしましょう(猫の数+1個のトイレが推奨されます)。
愛猫が安心してトイレを使える環境を整えることで、ストレスによる尿路系の問題を予防することができます。

まとめ

膀胱炎の原因は多岐にわたり、尿路結石や細菌感染、さらには膀胱の腫瘍の可能性も考えられます。愛犬や愛猫に何か異変を感じたときは、症状を見逃さずに動物病院での診察を受けることが非常に重要です。早期に原因を特定し、適切な治療を開始することで、愛犬や愛猫の健康を守ることができます。



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